前回、「次回からはオブラートに包まずに書く」と宣言した。約束通り書く。
先に断っておくが、これは説教ではない。「ご協力をお願いします」という丁寧な言い方も今回はしない。ただ、収集する側の人間が毎日何を見て、何を思っているかを、そのまま書く。
焼き鳥の串は、手に刺さる
まずこれだけは書いておきたい。焼き鳥の串を、そのまま袋に入れるのはやめてほしい。
一度刺さったことがある。袋を持ち上げた瞬間、中から突き出してくるのだ。
問題はその後である。次の日から、袋を持つのが怖くなる。実際には入っていないことの方が圧倒的に多い。それでも「入ってるんじゃないか」と思って、恐る恐る握るようになる。ゴミ袋を怖がりながら仕事をする人間の気持ち、想像できるだろうか。
新聞紙にでも巻いてくれたら、それで済む話なのだ。頼むから、それだけはやってほしい。
安い袋に、大量に詰めない
これも実害の話である。
薄い安売りの袋に、これでもかと詰め込んである。持ち上げた瞬間、ほぼ確実に破れる。破れたら中身が道に散らばる。散らばったら誰が拾うか。当然、こちらである。
袋をケチった分の時間と手間は、全部こちらに回ってくる。これは怒っているというより、単純に「もったいない」という話だ。
缶とペットボトルは、くくってくれ
これは笑い話にしておく。
缶やペットボトルの袋の口が、くくられていないことがある。持ち上げた瞬間、バラバラバラッと全部こぼれる。
坂道でやられた日には最悪だ。転がっていく缶を、こっちが全力で追いかけることになる。おにぎりころりんじゃないんやから!
一回結ぶだけである。ほんの三秒の話やで。
匂いの話も、包まずに書く
きれいごとを抜きにすると、この仕事で一番こたえるのは匂いである。中でも強烈なのが2つある。
ひとつは、魚のあらや内臓をさばいた袋。 これが破れて漏れていると、もう手がつけられない。
もうひとつは、猫のトイレの砂。 意外に思われるかもしれないが、個人的にはこれが一番きつい。あの匂いだけは、何年やっても慣れない。
どちらも、二重にして口を縛ってくれるだけでまったく違う。特に夏は、その一手間が効く。
何日も前から出さない
マンションの集積所が一番きつい。
収集日の何日も前から出す人がいるからだ。夏場、扉を開けた瞬間に立ち上ってくる空気は、ちょっと文章にしづらい。袋にゴキブリが張り付いていることも珍しくない。
これは出した人が悪いというより、「収集日の朝に出す」というだけのことが徹底されていない、という話である。何日も置かれた袋は、置かれた分だけ確実に腐る。
後から持ってきて、車を止める人
そして、これが一番多い。
収集車が行った後から袋を持ってきて、「おーい」と呼び止める人。あるいは、間に合わなかったから取りに来てくれ、と電話をしてくる人。
こちらはコースを組んで、どう回れば最速で終わるかを計算して走っている。一台止まれば、その後ろが全部ずれる。
不思議なもので、後から持ってくる人ほど、なぜか態度が大きい。逆に、きちんと時間通りに出してくれる人ほど、こちらに軽く会釈してくれたりする。子どもや、近所のご婦人方は、たいていきちんとしている。人柄というのは、ゴミの出し方に出るのかもしれない。
それでも、この仕事は嫌いじゃない
ここまで散々書いた。ただの愚痴やないか、と思われたかもしれない。実際、書きながら自分でもそう思った。
だが最後にひとつだけ書いておきたいことがある。
収集していると、たまに「ありがとう」と声をかけてくれる人がいる。たったそれだけである。それだけで、その日の残りが軽くなる。
この年になると、人から褒められることなんてほとんどない。だからあの一言は効く。串が入っていようが、袋が破れようが、あの一言で全部チャラになる。単純やろ?でも、ほんまにそうやねん。
だからこの記事も、文句のつもりで書いてはいない。知らなかっただけの人が、明日ちょっとだけ袋の口を縛ってくれたら、それでいい。
ゴミ収集シリーズ
ゴミ収集の一日を、オブラートに包まずに書いてみる
焼き鳥の串だけは、やめてくれ(この記事)
まだ食べられるのに
ゴミ収集車は、下に見られているのか
※この記事は個人の体験にもとづくもので、収集のルールや運用は自治体によって異なります。


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