【元自衛官が語る】自衛隊あるある&独特な文化|経験者しかわからない日常

自衛隊時代の話

自衛隊には、一般社会では通じない独自の用語がたくさんある。

例えば、灰皿のことをなぜか「円缶(えんかん)」と呼んでいた。誰に聞いてもその理由がわからない。先輩に聞いても「知らん、昔からそう言ってる」としか返ってこない。由来不明のまま受け継がれる謎の用語、これぞ自衛隊文化である。その他にもあったが忘れた。

階級と年齢のねじれ問題

自衛隊は完全な階級制だ。階級が下の者は、上の者に対して敬語を使うのが絶対のルールである。

ところが、中には年齢が同じ同級生が上司にいるケースもある。そうなると、上官の前では完全な敬語、上官がいない時はタメ口、という不思議な光景が生まれる。同じ相手なのに、上官の有無で言葉遣いが切り替わるという器用さだ。最初は違和感があったが、慣れると自然にスイッチが勝手に入りできるようになる。

「自衛官です」の社会的信用

外出した時に「仕事何してるの?」と聞かれて「自衛官です」と答えると、意外と反応がいい。なんか知らんけど信用されるのだ。具体的に何がどう良かったかは覚えていないが、いろいろ良くしてもらった記憶がある。「自衛官」という肩書きの信頼感は、思っていた以上にあった。そのほか反射の方たちにも人気があった模様。私は無かったがスカウトされた人がいたのが事実だ。

男同士の団体生活は意外と面白い

自衛隊の生活は基本的に男同士の共同生活である。もめ事もある。それでも、男同士の友情みたいなものがそこにはあった。環境が特殊だからこそ生まれる絆というか、普通の職場では味わえない独特な仲間意識は、自衛隊ならではだと思う。意外とよく聞かれるのがイジメがあったかなかったか?と聞かれるが、基本的には無かったように思う。ナゼそう思うのかと言うと自衛隊は階級によってすべての上下関係が決まるため上官からキツイことをされたり言われたりすることが当たり前の世界なのでイジメをイジメと感じないのだと個人的には思う。人はどうか知らないが・・・体感ではなかったと感じている

子どもに自衛隊を勧めるか

私には2人の娘がいるが、もし男の子がいたら、自衛隊に入る経験もアリだなと思っている。いいことも悪いことも経験できる。いろんな先輩がいて勉強になる。メンタルが鍛えられる。いろんな意味で強くなれる。もちろん全体的に厳しいし、合う合わないはある。でも若いうちにあの環境を経験しておくのは、人生においてプラスになると思う。

まだまだある、自衛隊あるある

このブログを書いていると、次々に思い出してくる。細かいものをいくつか挙げておく。

朝は目覚まし時計ではなくラッパ。起床は6時、ラッパの音で強制的に叩き起こされる。あのラッパ、吹く側にも専門の教育課程があるらしい。

土曜日は「半ドン」。午前中だけ働いて午後は自由。今の若い人には通じない言葉かもしれない。

アイロンがけに1時間かかる。制服の折り目を刃物のようにつけるまで、延々とやらされる。バケツの水を指ではじきかけて、熱いアイロンを当てる。

演習前の「貧乏くじ」。機関銃手とロケットランチャー手は誰かが必ずやらなければならない。発表の瞬間、全員が祈っている。これも[機関銃手の記事]に詳しく書いた。

そして、ほぼ全員が水虫。これは笑い事ではない。訓練より寒さより、水虫の方がきつかったと言う先輩もいたくらいだ。

用語が独特なのは、たぶん理由がある

灰皿を「円缶」と呼ぶ話を書いたが、こういう独自の言葉が生まれるのには理由があると思っている。閉じた世界だからである。相撲界で食べ物をほとんど「ちゃんこ」と呼ぶのと同じ感性だと思う。

営内で寝起きして、同じ飯を食い、同じ訓練をする。外の社会と接する時間が少ないと、言葉は勝手にその中だけで転がって、独自のものになっていく。学校のクラスや部活でも似たようなことが起きるが、自衛隊はその濃度が桁違いに高い。由来を誰も知らないまま何十年も受け継がれている言葉。あれはあれで、ひとつの文化だと思う。

娘には、丁寧にお断りされた

記事の最初に「もし男の子がいたら勧める」と書いたが、実は娘にも勧めたことがある。婦人自衛官という道である。

「自衛隊の看護学校にいったら給料もらいながらいろいろな資格取れるで!公務員やし安定してるし上下関係は民間の病院より厳しいけど勤務は楽やで!どう?」と勧めたが・・・

結果は、丁寧にお断りされた。まあそうやろな、とは思う。親に勧められて入るような世界でもない。それでも勧めたのは、あそこで得たものが自分の中に確かに残っているからだ。

体力、生活習慣、そして「しんどいことをみんなでやる」という経験。あれは他ではなかなか買えない。もちろん、合う合わないは絶対にある。厳しいのも事実だ。だから無理に勧める気はない。ただ、選択肢のひとつとして知っておいて損はない、とだけは言っておきたい。

今日の一句

  上官の 前と裏とで 変わる口 字余り

                      ではまた!

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